京都には、長い歴史をもつ複合的な産業集積が形成されています。近世にさかのぼると西陣に代表される繊維産業ばかりではなく、清酒醸造、縫い針などの金属加工、木工・竹工などさまざまな業種が存在していました。

 京都に本社を置く主な企業としては、島津製作所、京セラ、村田製作所、堀場製作所、ローム、日本電産、オムロン、任天堂などがありますが、これらの企業はかつてベンチャー企業として急成長を遂げ、ユニークな技術などを背景とした得意分野を持つことで知られています。そしてこれらの企業には個性的な創業者が多く、ベンチャー企業の育成などにおいて自社の経営を伝承することにも積極的です。こうした背景もあって、これらの企業から分社化やスピンアウトした新しい企業が生まれています。京都の企業は異業種交流参加率の割合が高く、京都商工会議所、京都経済同友会などの経済団体での交流活動も活発です。

 また、京都には西陣織や京友禅など国が指定する17品目の伝統工芸品があり、これらの製造に関する基盤技術の蓄積が先端技術を生む土壌となっています。

 さらに京都では大学・研究機関の集積を背景として、産学連携の仲介や大学の協力に基づく産業支援活動が活発に行われています。また、京都リサーチパークなど産学連携や産業支援活動を進めるための拠点も整備されています。
 
 このように、京都では、独特の歴史的経緯や都市文化性を背景に、業種の多様性がみられるとともに産学連携や産業支援活動が活発に行われ、その結果として異分野の知識や情報が融合しやすい複合的な産業集積が形成されているのです。(つづく)

(記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター)