日本のロボット産業が変わろうとしています。6月7日、政府は新たな成長戦略の原案を明らかにしました。その中には次世代ロボットの開発、普及策が明記されています。政府が示す通りに、日本はロボットを成長の原動力とすることができるのでしょうか。

 政府が打ち出す「ロボット戦略」とは、低価格で使いやすいロボットを世界に先駆けて普及させるというものです。補助金を出すなどの支援により、競争が激化するロボット産業で、日本の競争優位を築こうとしています。安倍総理大臣は「ロボット事業は成長戦略の大きな柱である」と語り、新成長戦略の閣議決定の前週にロボットメーカーを訪問するなど、意欲を示しています。

 日本は労働人口の減少が続き、また介護や農業などの分野では、人手不足が起こると言われています。ロボット産業の発展は、ビジネスのチャンスを広げるだけでなく、日本が抱える社会的な課題を解決するのにも貢献するといえます。

 ところで、これまでも日本は性能のよいロボットを開発し、「ロボット王国」と呼ばれていました。ただし、工場の製造ラインに組み込まれる「産業用ロボット」の占める割合が高く主流となっています。世界では、アメリカのロボットメーカーがより安価なものを率先して開発しています。

 そこで、今回、政府は工場向けに加えて「介護」「農業」「災害」と合計4つ、集中する分野を掲げ、国内の市場規模を2012年の約7,000億円から、2020年には3倍超の約2.4兆円に伸ばそうとしています。工業向け以外の分野でも成功できるか、ここに日本のロボット産業の成否の分かれ目があります。(つづく)

(記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター)