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東日本大震災のこともあり、どこかしらに寄付を行った方は少なからずいらっしゃるのではないでしょうか。
個人名義で、法律で決められている一定の団体に寄付をすると、条件次第では何らかの形で税額控除が受けられます。

「税額控除」は、所得控除と違い、算出された税金の額から直接に控除できる(差し引ける)控除のことを指すので、その節税効果はすごく大きいのです。
(税額控除でよく知られているのが、通称「住宅ローン控除」。
こちらを思い出していただければ、税額控除のお得度が分かりますよね。)

今回は、平成23年分より大幅にその適用対象が増えた「寄附金特別控除」について、
実際に適用できるのかどうか?の、判断ポイントも交えながらお話させていただきたいと思います。

寄附金特別控除……震災関連で選択肢が増えたこともあり、若干仕組みが複雑になっています。

先ほども説明しましたが、寄附金特別控除は所得控除ではなく、税額控除です。

かつては、個人の所得税で寄附金特別控除が選択できたのは、
政党又は政治資金団体に対する一定の寄附金だけにとどまっていました。
これが、平成23年分より、次の3つについても「所得控除」と選択することが可能となりました。

(1)公益社団法人等に対する一定の寄附金

(2)認定NPO法人に対する一定の寄附金

(3)震災関連寄附金のうち特定のもの

計算方法については、国税庁HPで詳しく説明しておりますのでこちらのリンクでご確認ください。

それでは寄附金の内容について、順番に説明してゆきましょう。
(1)は、公益社団法人、公益財団法人、学校法人、社会福祉法人などのうち、

一定の要件を満たすものに対して支出した寄附金です。

特に、社団法人・財団法人の公益化への移行は平成23年中にも進んでおり、もし年の途中で移行している場合には、同時に特別控除の対象団体としての認可を取得しているケースがあります。

たとえば、ユニセフやプラン・ジャパンについては、いずれも移行後から特別控除が適用可能となっています。

 ◆
ユニセフHP
 
 ◆プラン・ジャパンHP
  

(2)の認定NPO法人に対する寄附は、認定の有効期間内に支出した事業関連寄附が該当します。

ただし、この寄附のうち(3)に該当するものがある場合で(3)を適用するときには、ここではなく(3)に含めて計算することになります。

(3)は、中央共同募金会の「災害ボランティア・NPO活動サポート募金(通称:ボラサポ)か、認定NPO法人に対する寄附のうち、「一定のもののみ」です。


 認定NPO法人に対する一定の寄附とは、「国税庁ホームページ上に掲載されている東日本大震災に関連した一定のものとして

所轄国税局長の確認を受けたものであって、掲載されている募集期間内に寄附をした場合」に限られます。

なお、寄附金特別控除を受ける項目が複数ある場合には、

(1)→(2)→政党等に対する寄附金特別控除、又は(3)の順番で行います。

寄附金特別控除にも上限(所得税の25%相当額)が設けられていますが、

この上限額は、政党等に対するものを除き(1)から順番に適用してゆくことになります。

つまり(1)を適用した段階で、既に上限額に達していると、たとえ他に(2)や(3)があったとして、

これらについて寄附金特別控除を適用したとしても、適用金額は0円になってしまいます。

 また、この選択可能な寄附については、所得控除・寄附金特別控除のうち、いずれか一方しか受けることはできません。

たとえば、(1)に該当する寄附が100万円あったとして、このうち70万円は特別控除で残り30万円は所得控除とすることはできないのです。

ですのでこの場合、いずれかで100万円を適用しなければなりません。

ところで効率よく税額控除を受けるためのポイントは、「どこへ・いつ・どの目的で」支出したのか?になります。
「支出した先」によって、「日付」によって、はたまた「目的」によって、
特別控除を受けられるか否かが変わってしまうからです。


先ほど例に出したユニセフとプラン・ジャパンについて見てみましょう。

ユニセフは、平成23年4月以降から、プラン・ジャパンは平成23年2月以降から選択が可能となっています。

例えば、ユニセフへ平成23年3月に東日本大震災の活動資金として寄附をした場合には、寄附金控除(=所得控除)しか計算することはできません。

しかし同じく平成23年3月にプラン・ジャパンへ寄附をしていたら、寄附金控除と寄附金特別控除と選択することが可能、ということになります。

また、中央共同募金会は、目的がボラサポなのか東日本大震災義損金なのかによっても変わります。

このように、寄附先1つとってみても、時期によって選択が可能となる場合とならない場合が存在したり、目的によって分かれたりします。

寄附先が1ヶ所だから、とあきらめないで、日付を確認したり、

寄附先がどういう優遇措置が受けられる団体なのかを確認すれば、税額控除を受けられる可能性が高くなります。

最後ですが、これらの特別控除を適用する際には、申告書の「特例適用条文等」の欄に条文番号を記載する必要がありますので

記載を忘れないようにしましょう。

 (1)措法41の18の3

 (2)措法41の18の2

 (3)震法8

少しでも疑問に思うことなどございましたら、ぜひお問い合わせください!