(「世界地図が変わるとき その1」より続く)

 リスクを取らずに国外売上を得るためのビジネスモデルを実現させた3つの理由のうち1点目は、マーケティングです。顧客、市場の動向を丁寧に収集し、分析を徹底しました。

 2点目は、製品力です。顧客、市場の期待を上回る妥協のない製品を開発しました。

 3点目は、組織力です。開発、製造、物流など顧客に至るまでに関与するすべてのメンバーを、「この新製品は顧客をとおして世の中のためになる」と強く意識するひとつのチームにまとめあげました。

 この若き経営者は「市場シェア100%は実績で、目標ではない。最新のイノベーションを用いた最強のチームがやっとできた。当面の目標は中国をはじめとするアジア。また、基本的に日本の「常識」は世界の「非常識」であり、日本と「同質」なところはないと思った方がいい。だが、日本は「異質」ゆえ、抜きん出た技術力で世界に受け入れられた。この経験こそ、日本の強み。世界が気にかけない細かいところまで『こだわり』抜いてこそ、日本の存在意義がある」と言います。

 この『こだわり』は上記3つの理由の根底に据えられているように思います。さらに、この日本特有の『こだわり』で世界の「非常識」を「常識」に変えるのだという意気込みも感じさせられます。

 アジアへの進出は、韓国経由のルート開発を既に済ませています。なぜ韓国経由かは紙面の都合で記せませんが、欧州、北米、他の地域への世界戦略は次世代が考えることとし、アジアに貢献するところまでで自身の経営者としての寿命が来る、とモデルビルダーらしく自らの有効期限も考えています。

 世界地図が変わるときを、今までの「非常識」を「常識」に変える好機と捉えてはいかがでしょうか。(了)

(記事提供者:アタックス 入駒 慶吾)