(「未来の日本を背負う若者に成長の機会を1」より続く)

 今回の新卒就職支援策は予算規模で300~400億円程度、対象人数1万人を想定しているようですが、金額、人数とももっと予算規模を増やしてもよいのではないでしょうか。実際に会社を経営するとわかることですが、新入社員は30歳くらいまでにどんな環境でどんな上司(できれば厳しい上司が望ましい)の下で仕事をするかがその後の成長を大きく左右します。「鉄は熱いうちに打て」という格言があります。人には個人差はあるものの、30歳くらいまでが極めて重要なのです。この期間に整った環境で仕事の基礎力をしっかり身につけることができれば、その人の将来は希望が開けます。また、そうしなければ、未来の日本が心配です。「企業は人なり」であると同時に「国家は人なり」です。

 韓国、中国などの追い上げもあって、日本経済はなんとなく元気がありません。若者も内向き思考が強く海外にも出たがりません。その原因をいわゆる「ゆとり教育」に求める世論も多く、教育改革を強く主張する政治家、経営者も多くいます。しかし、戦後の高度成長期は企業ががんばって新入社員を一から、仕事を通して(言うところのOJT教育によって)5年、10年かけて人材に育てたのです。新卒の若者が仕事を通して社会に役立つ能力を身につける場はなんとしても作らなければならないのです。

 これから日本は働き手(生産人口)がどんどん減っていくことは明らかです。こんなときこそ、中小企業の経営者は将来戦略を描き、その担い手となる新卒の採用を考えてみてはいかがでしょうか。国もバックアップしてくれるといっているのですから。(了)

(記事提供者:アタックス 丸山 弘昭)