(国際課税 前編)



 日本経団連は、経済産業省に対し、2011年度税制改正要望を要望した旨の報道がありました。
 それによりますと、日本経済の浮沈の鍵を握る輸出企業の国際競争力支援のためには、法人税率の引下げ(法人税負担の軽減)とあわせて、国際課税問題の克服も課題と捉え、要望として、下記の4項目を挙げています。

 ①移転価格税制の見直し
 ②租税条約ネットワークの充実・拡大
 ③直接外国税額控除制度の見直し
 ④タックス・ヘイブン対策税制の適切な執行

 上記①移転価格税制の見直しの要望内容として、
・事前確認制度及び相互協議の一層の迅速化・効率化を行うこと
・国外関連者要件について、実際には支配権が及ばない株式保有比率50%の場合を除外し、50%超とする等の見直しを行うこと
・寄附金課税と移転価格課税の境界線の明確化すること
・独立企業間価格の算定に係るOECDガイドラインの改定版の公表に伴う制度改正及び執行は企業の実態・実情をふまえ、納税者の理解・納得を得ながら進めていくこと

 特に、利益分割法を伝統的な取引基準である基本三法(独立価格比準法、再販売価格基準法、原価基準法)と同等の基準として位置付けるのであれば、無形資産取引、役務提供取引の取扱いについて、さらに明確に規定する等、納税者の予見可能性を高めることを挙げています。要望目的、期待される効果として、国際的な二重課税リスクの解消、納税者の予見可能性の向上による、わが国企業の安心かつ確実な海外事業展開の確保が図れるとしております。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、平成22年9月13日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。