(「タレントマネジメントが必要な時代 その1」より続く)

 自社にどのような人材がいるのかを知り、他者の力を上手く活用することは、今後ますます重要になってくるでしょう。言い換えれば、各人の「Know-How」も大事だが、もっと重要なのは「Know-Who(誰を知っているか)」である、と言えるのです。

 さらに、アルプス電気の取り組みで注目したいのが、若手が先輩社員とキャリア形成を相談しながら研修プログラムを選択する仕組みです。これは一般的には「メンター制度」と呼ばれている制度です。組織知や人脈は、紙だけの伝達やメールでの情報交換だけでは構築しづらいものです。やはり、人を介しての双方向の会話でなければ細かなニュアンスが伝わらないことが多いでしょう。また、人脈をうまく使えるかどうかは、普段のコミュニケーションで大きく差が出ます。普段まともに会話をしていない人に対しては、困った時に相談しづらいし、相談された方も本気でサポートしようとは思いません。コミュニケーションが希薄化した社会において、先輩社員を通じて「気軽に聞ける仕組み」を構築しておくことは非常に良いことです。

 「人材の見える化」は、最近人材マネジメントの世界では、「タレントマネジメント」と呼ばれています。タレントマネジメントは、単なる人材情報の一元化ではなく、社員と会社全体の仕事の幅を広げ仕事の質を高めるための重要な戦略として捉える必要があるのです。(了)

(記事提供者:アタックス 稲垣 謙二)