米カウフマン財団が昨年12月に発表した研究成果では、年商10億ドル規模の新興企業が年間30~60社新たに生まれると、米国のGDPが1ポイント上がるといいます。

 ここから日本経済新聞は、1月3日の朝刊で、日本のGDPはざっと米国の3分の1なので、日本のGDPを1ポイント押し上げるには、年商800億円の企業が毎年10~20社出現する必要がある、と話を展開していました。確かに、内需型であろうが輸出振興型であろうが、新たな起業が活発化すれば、日本経済の未来は明るいでしょう。

 単純に考えて、日本のGDPを1ポイント押し上げるために年商合計8,000億円から1兆6,000億円が必要とすると、年商100億円規模の企業であれば、毎年80~160社が出現しなければなりません。すなわち、事業基盤のしっかりした新興上場企業が毎年100社ずつ育てば、見通しは明るいという計算になるのです。昨年の上場企業は合計22社で、大塚ホールディングスや第一生命保険のような古い歴史の、上場する遥か前から大企業であった6社が含まれていたのですから、新興上場企業は16社しか出現しなかった訳です。期待とは裏腹に、現実は惨憺たる有様です。(つづく)

(記事提供者:アタックス 西浦 道明)