景気低迷による業績不振で、経営存続の危機に直面している会社は少なくありません。経費を切り詰めてなんとかピンチを切り抜けたい会社の多くがまず考えるのは人件費の削減。新規採用を見送り、派遣社員や契約社員などの非正規雇用者のウエートを広げるケースが増えているようです。
 このように、企業の非正規雇用化が進む中で変化してきたのが、派遣社員等に対して企業が求める能力の高さ。正社員と同等またはそれ以上のスキルを求めるケースが多く、そのために派遣社員等に対しても、正社員と同様の教育訓練を実施する企業が増えています。

 ところで、中小企業が社員に対して教育訓練を行った場合、「中小企業者等における教育訓練費の税額控除」が適用できます。これは、青色申告する中小企業が教育訓練を行った場合、①損金算入される労務費のうち教育訓練費の占める割合(教育訓練費割合)が0.15~0.25パーセントであれば、教育訓練費×((教育訓練費割合-0.15%)×40+8%)②教育訓練費割合が0.25パーセントであれば、教育訓練費の12パーセント相当額─を限度に税額控除できるという制度です。法人税額の20パーセント相当額が上限とされています。

 社員教育に力を入れている企業ではぜひとも活用したい制度ですが、対象となる教育訓練は「法人がその使用人の職務に必要な技術や知識を習得させるため又は向上させるために支出する費用」とされており、派遣社員への教育訓練も対象となるのか気になるところです。
 これについて国税庁は、派遣社員が、正社員と同一の職務に従事し、かつ、正社員と同一の職務にかかる教育訓練(正社員等を主体としたものに限られる)に参加している場合には、同制度で言う「教育訓練費」に含まれると説明しています。
<情報提供:エヌピー通信社>