日本企業が人件費の安い中国に工場を移転させ、ローコストオペレーションを行ったり、13億人以上といわれる巨大な中国市場を販売のターゲットとして中国進出する一方で、ここ数年中国企業が日本の企業や事業部門の買収を加速させている事実にお気づきでしょうか。

 2010年の山東如意科技集団によるレナウンの買収は、「経営不振の日本企業を中国企業が買収」と報道され、いまだ記憶にある方も多いのではないでしょうか。

 2008年のリーマンショックからいち早く立ち直り、豊富な資金を背景に、多くの中国企業が海外へと進出しています。

 中国企業が海外へ進出する目的として、ひとつは資源獲得があり、急成長する中国国内において石油や鉄などの資源が不足している背景が挙げられます。レアメタルなどは最たる例で、アフリカなど資源が豊富な国との関係強化は強引な手法が目立ち、行き過ぎではないかと言われるほどマスコミを賑わせています。また、日本が中国をはじめとして新興国へ進出したように、中国企業も同じように発展途上国や新興国に工場や販売経路を確保すべく進出しています。

 そして、自国より進んだ技術やブランド、ノウハウ、経営手法や優秀な人材などを確保するために日本などの先進国へ進出するのです。

 このような中国企業の日本企業買収の動きに対して、「技術が流出し、日本のモノ作りの競争力が低下する」、「中国は日本の脅威となるのではないか」といった意見があります。(つづく)

(記事提供者:アタックス 伊藤 彰夫)