経団連の「平成24年度税制改正に関する提言」で挙げられた「個別税目に関する具体的な課題」では、消費税と法人税についてとくに多くの行数を割いています。しかし、消費税増税で大きな負担を被る可能性が高い中小・零細企業にとってみれば、必ずしも納得できない部分もありそうです。

 消費税について提言では、「国民で負担を広く分かち合う税目」、「経済活動に最も中立的」として、社会保障制度の財源にする税目の中で「最もふさわしい」と述べています。改革の第1段階として「税率を2015年までに10%まで、段階的に引き上げる」としたうえ、さらに第2段階では「2020年代半ばまでに10%台後半に引き上げることは避けられない」と付け加えています。低所得者層の負担が大きくなる逆進性の問題に対しては、税率が10%を超えた段階で給付付き税額控除の導入等を検討すべきとしています。

 法人税は、国内雇用の維持・増加や海外企業の直接投資の呼び込みなどの観点から、平成23年度税制改正法案で盛り込まれた法人税の実効税率5%引き下げを実施すべきとしています。さらに段階的に引き下げていき、現在の実効税率である40%から25%にまで下げることを求めています。また、復興財源として法人税の増税が止むを得ない場合には、実効税率5%引き下げが先行して行われることが前提であり、その減税分を限度として時限的に課すか、施行を一定期間遅らせる方式を掲げています。

 所得税では、各種控除の見直しや給付付き税額控除制度の導入、子育て世帯や低中所得者層への重点的な支援を提言。相続・贈与税については、中堅資産家層の経済基盤を損なわないように配慮したうえで、相続税の課税ベース拡大や贈与税の負担軽減など、総合的な見直しをするべきとしています。
<情報提供:エヌピー通信社>