(「技術流出を覚悟して、中国での生産へ1」より続く)

 避けなければならないことは、顧客から言われたことは何でも引き受けてしまう、「遠くを図る」経営戦略を欠如した「目先追及の姿勢」でしょう。研究開発でリードし続けることも、勿論、過当競争から脱却する道のひとつです。

 一方、日本の中小企業はどうすればいいのでしょう。要は過当競争が一番いけないのです。「遠くを図らず目先に追われ続けて」いては永久に低収益や低賃金から脱却できません。大企業が攻めてこないニッチを狙い、そこでオンリーワンとなり、WTP ( Willingness to Pay = お客様が喜んでお金を支払ってくれる状態 )を創り出すしかありません。急には難しいでしょうが、脱下請け・自立化を模索すべき時が来ているのです。あるいは、日本で培ってきた自社の強みを、資本力のある大企業が攻めて来そうにない、アジアの新興国でのニッチ分野に誰よりも早く展開することでしょう。もし、何らかの蓄えがあるのなら、今は、思い切って攻めに転ずべき時ではないでしょうか。慌てる必要はありませんが、その決断を迫られているように思います。(了)


(記事提供者:アタックス 西浦 道明)