(「中国政府、規制の死角 その1」より続く)

 同じく新聞報道によれば、預金金利が消費者物価指数の上昇率を下回る状態が続いているため、預金を解約して高利貸しの資金源に回っているといいます。ただ、驚くことにその資金源は国有企業や役人ら既得権益層の余剰資金なのです。こうした「地下金融」の行き着く先は中小企業や個人であり、支払金利が法定金利を大幅に上回るため、中小企業の破綻が相次いでいます。中国銀行業監督委員会はこのほど「インターネットを利用した個人金融が社会に悪影響を与える可能性がある」との異例とも言える警告の通達を出しました。

 インフレが進行して住宅を買えない中国国民の不満は確かに大きいでしょうが、国有企業や役人などの既得権益層がこうしたやり方で自らの蓄財に励んでいるとすれば、遥かに許しがたい由々しき問題です。中国一般庶民はやるせない気持ちでしょう。中国政府に、真に優れたリーダーシップがあるのなら、この腐敗構造に何らかのメスを入れて欲しいと願うのは、中国の一般庶民だけではありません。中国の順調な経済発展なくして世界の順調な発展もあり得ないことから、この願いは、今や世界の願いでもあるからです。(了)

(記事提供者:アタックス 西浦 道明)