中小企業等金融円滑化法(モラトリアム法)が施行されたのは平成21年12月4日。それから平成23年9月末日までの間に、中小企業が銀行や信用金庫、信用組合などに条件変更を申し出た件数は245万6633件で、そのうち金融機関が変更に応じたのは225万4760件であることが分かりました。金融庁が公表した「中小企業金融円滑化法に基づく貸付条件の変更等の状況について」によって明らかになったものです。

 「申込み」に対して金融機関が条件変更に応じた「実行」の割合は、「審査中」「取下げ」を除いて算定すると97.3%で、実行金額は67兆6396億円にのぼります。逆に、金融機関が条件変更などを認めなかった「謝絶」は6万3189件にとどまっています。
 また、住宅資金借入者からは21万3225件の申込みがあり、条件変更に応じたのは16万7034件、謝絶は1万5196件でした。実行と謝絶で見た実行率は91.7%で、実行金額は3兆2650億円となっています。

 モラトリアム法は返済の猶予を受けられやすくする制度ですが、企業にとっては「単なる延命措置になりかねない」という懸念も残っています。事実、複数の調査機関の調べによると、今年に入ってから同法利用後の倒産が増えていることが報告されています。例えば帝国データバンクによると、平成23年1~10月の関連倒産件数は142件で、平成22年(通年)の23件を大幅に上回っています。
<情報提供:エヌピー通信社>