(「災害に対するリスクマネジメント その1」より続く)

 被害が甚大な災害が起った際には、会社の建物や重要書類が失われたり、主要な取引先が被災したため、通常業務が難しくなるといったケースもでてくるでしょう。会社の建物の耐震強度を再度確認し、重要書類に関しては出来る限り電子化して事業所とは別の場所にバックアップを保管しておくなどの対応が必要です。

 東京都豊島区の区役所では、2009年7月から「総合文書管理システム」というシステムを本格運用しており、文書の作成段階から、起案、決裁、施行、公開、保管に至るまでのサイクルをすべて一元的に管理できる体制を築いています。さらにこのシステム導入から半年で起案文書の電子化率99%を達成したとのこと。このようにほぼすべての書類を電子化しておけば、バックアップを事業所とは別の場所に保管することも容易に行うことができ、通常業務においてもスペースをより有効に活用することができるでしょう。

 また、災害後も事業を継続させるためには主要取引先への対応が非常に重要となります。阪神淡路大震災の際、ある製造業者は自社の生産ラインがストップしたため、ライバル企業に代わりに生産してもらうことで取引先への影響を最小限に抑えることができ、自社設備復旧後の取引再開もスムーズに行えたといいます。このように、災害後のスムーズな事業再開のためにも、同業他社や取引先との間で災害時の対応を予め話しておくことが大切です。

 中小企業庁のHPには、企業のBCP(事業継続計画)作成に役立つ情報が掲載されています。このようなものも活用しつつ、災害に対するリスクマネジメントを改めて考えてみてはいかがでしょうか。(了)

(記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター)