税制改正法の成立を受けて、政府は「税・社会保障一体改革」に伴う、いわゆる「消費増税法案」を国会に提出しました。最高税率の引き上げによる「所得税増税」と、税率の見直しや課税対象者の拡大による「相続税増税」をも盛り込んだもので、その実態は〝トリプル増税法案〟といえるものです。「一体改革」の関連法案とされる「年金機能強化法案」と、「子ども・子育て新システム関連3法案」も同時に提出されています。

 消費税率の引き上げについては、現行5%の税率を平成26年4月に8%、27年10月に10%に引き上げることを柱とする内容です。所得税は最高税率を引き上げ、課税所得5千万円超については45%とし、27年分以後の所得税から適用を開始するとしています。相続税については基礎控除の部分を現行の5千万円から3千万円へ引き下げ、法定相続人1人当りの控除も1千万円から6百万円に縮小、最高税率は55%へ引き上げます。その一方で、相続時精算課税制度を利用できる贈与者の年齢制限を見直し、現行規定の65歳から60歳に引き下げることで対象者を拡大し、「相続から贈与へ」の流れと「次世代への可処分所得の移行」を図りたい考えです。相続・贈与ともに、27年1月1日以後に取得する財産について適用されます。

 「年金機能強化法案」は、基礎年金の国庫負担割合を2分の1に恒久化することを主な内容とするものです。ほかに、低所得者への年金額の加算や、短時間労働者への社会保険の適用拡大なども盛り込まれています。
<情報提供:エヌピー通信社>