青色申告の取り消し、いわゆる〝アオトリ〟の憂き目にあう会社が増えています。青色申告を要件とする欠損金繰越控除は、黒字申告となった事業年度開始の日の前9年以内に開始した事業年度に赤字があれば、その赤字を繰り越して黒字と相殺できるというものです。ただし、この規定が適用できるのは、赤字となった事業年度に青色申告書を提出し、かつ、その後も連続して確定申告書を提出した場合に限られます。

 ここで気になるのが、なんらかの事情で青色申告を取り消されてしまった場合、その取り消された事業年度の法人税申告で、欠損金繰越控除を適用できるかという問題です。
 欠損金繰越控除は「青色申告の特典」というイメージが強いため、青色申告が取り消されてしまったら、その事業年度から欠損金繰越控除を適用できないと捉えてしまいがちですが、これは間違いです。
 欠損金繰越控除の適用にあたって青色申告である必要があるのは、繰り越そうとしている赤字を出した事業年度についてのみです。つまり、欠損金繰越控除を適用する事業年度が白色申告であっても欠損金繰越控除は適用できるというわけです。

 ちなみに、繰越欠損金がその事業年度開始の日の前9年以内に開始した事業年度のうち、2以上の事業年度で生じている場合には、最も古い事業年度に生じたものから順次損金算入していくことになります。
 なお、青色申告承認が取り消されても、承認申請をして認められれば再び青色申告法人に戻ることができます。ただし、再申請ができるのは、青色申告承認取り消しの日から1年後からとなるので注意が必要です。
<情報提供:エヌピー通信社>