リーマンショック以降、新聞の経済面には、日本企業にとって好ましくないニュースが目につくようになりました。薄型テレビの業績悪化、半導体企業の経営危機、そして韓国をはじめとする新興国企業の台頭。これら日本の低調の原因はどこにあるのでしょうか。

 有識者のなかには、日本企業に優れたリーダーがいないことを指摘する人が少なくありません。アメリカには、ビル・ゲイツやスティーブ・ジョブズといった、天才型のリーダーが組織を引っ張り、好業績を残すタイプの企業が多くあります。日本企業にも、このようなリーダーがいれば、低調から脱することができるというのが有識者の主張です。とはいえ、天才は簡単に育つものではありません。

 そこで着目したいのが集合天才という概念です。これは、一人ひとりは凡人でも、互いに協力し、個々の能力を活かすことで、組織全体は天才になることを指します。日本人の特性を考えると、一人の天才が組織を引っ張るよりも、この集合天才型の組織を目指すほうが適しているのではないでしょうか。

 というのも、日本人の強みは、その「チーム力」にあるからです。先のロンドンオリンピックでは、格闘技のような個人戦でのメダル獲得もありましたが、なんといっても団体競技や団体戦での活躍が目立ちました。

 たしかに、天才が一人いて、好業績を実現するのも一つのやり方ですが、日本企業の良さを活かすなら、そうした組織よりも個々の力を結集してチーム力で勝負する「集合天才型の組織」のほうが多くの価値を社会へ提供することが期待できるといえます。(つづく)

(記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター)