9月に入るといよいよ本格的な税務調査シーズンに突入します。多くの中小企業が業績不振の常態化で青息吐息ですが、それでも「叩けば埃が出る」企業は確実に存在します。税務署もこうした企業を徹底マークしており、赤字法人への税務調査も確実に増えているといわれています。

 国税庁がまとめた平成22事務年度の法人税調査事績によると、約5万2千件の赤字法人に対して調査を実施し、6592億円の申告漏れ所得を把握。調査した赤字法人のうち約6千件は本来なら黒字申告すべき法人であり、これらの黒字転換した法人に課税した法人税額の合計は488億円でした。国税当局が赤字法人への調査に躍起になるのも頷けます。
 それでは、いったいどんな赤字法人が狙われるのでしょうか。現役調査官からは「同規模、同業種の会社と比較して利益や経費率などが極端に低い、または高い会社は目に付く」「海外送金を頻繁に行っている会社は赤字でも調査対象になることが多い」という声が聞こえてきます。

 厳しくチェックされるのは、給与をはじめとする経費関係。例えば、給与については社員から直接給与額を聴取して記帳額と突き合わせたり、旅費については旅費規程を十分に検討したりするといいます。消耗品についても棚卸資産となる貯蔵品にするべきものはないか、厳しくチェックします。また、雑費については、役員の個人負担とするべきものがないかなど、業務と関係のない支出がないかを検討するといいます。
 領収書も重点チェック項目で、手書きで金額の大きいものや、「上様」「品代」などアバウトな表示のもの、ゼロの多い数字などについてはとくに念入りにチェックし、不自然な領収書があれば取引先への反面調査も積極的に行っているといいます。
<情報提供:エヌピー通信社>