幼稚園保育料の一部を公費で負担する「幼稚園就園奨励費補助」について、会計検査院が約500の自治体を抽出調査したところ、約30の自治体で平成20~22年度の3年間に合計約700万円が過大支給されていたことが明らかになりました。
 今回は抽出調査のため、全国規模では数千万円が過大支給された可能性もあります。指摘を受けた文部科学省では自治体に全額を返還させる方針だとしています。

 「幼稚園就園奨励費補助」の制度は、低所得の保護者の負担軽減を目的として、昭和47年に開始されたものです。住民税額に応じて自治体から保護者に支給されるもので、そのうちの25~33%を国が負担しています。昨年度は全国の自治体に対して、約211億円が補助されています。

 過大支給は、住宅ローン控除の適用を受けた保護者が、本来の住民税額ではなく、減税後の税額で補助を申請していたのが主な原因です。
 住宅ローン控除による減税額が所得税額を上回った場合、減税しきれなかった分は翌年度の住民税額からも控除できます。このため、本来の税額よりも、実際に納めた税額が大幅に低くなるケースも多く、結果として「住民税額に応じて支給」される仕組みの補助が過大に支給される結果となりました。

 文科省では平成20年に、「住宅ローン減税を適用する前の住民税額」で補助申請させるよう自治体に通知していましたが、徹底されていませんでした。ほかにも1年分の支給を受けた後に引っ越して、転居先でも再び受け取ってしまっていたケースなどもあったといいます。
<情報提供:エヌピー通信社>