平成23事務年度(平成23年7月~24年6月)に実施した相続税の実地調査の状況を、国税庁が公表しました。相続した国外財産を他の相続人に知られないように申告除外していたケースや、多額の現金を隠して基礎控除額以下であるように装っていたケースなどが報告されました。

 相続税調査は、当局が収集した資料情報を基に、申告額の過少申告や無申告が想定される相続人に対して実施されます。国税庁によると、平成21・22年に発生した相続を中心に、23事務年度に実施された相続税調査は1万3787件で、このうち申告漏れなどの非違があった件数は1万1159件(非違割合80.9%)でした。

 申告漏れ課税価格は3993億円、実施調査1件当りは2896万円。加算税を含む追徴税額は757億円で、実施調査1件当りは549万円。仮装・隠蔽といった悪質な手段で過少申告や不納付、無申告になっているケースで課される重加算税の賦課件数は1569件でした。
 申告漏れ財産で最も多かったのは現金・預貯金等の1426億円で、有価証券の631億円、土地の630億円、家屋の76億円と続きます(その他が1179億円)。

 海外資産への注視も続いています。海外資産関連の相続調査件数を平成19事務年度から順に年度別でみると、407件、475件、531件、549件、そして今回が568件と、年々増えていることが分かります。これに伴って非違件数も増加傾向にあり、23事務年度は111件でした。当局は資料情報や相続人・被相続人の居住形態などから海外資産の相続が想定されるケースなどに対して「積極的に調査を実施する」としています。
<情報提供:エヌピー通信社>