日本税理士会連合会(日税連)会長の諮問機関である税制審議会(金子宏会長)はこのほど、会長への答申「法人税における課税ベースのあり方について」を公表しました。
 役員給与税制では、役員に対する報酬と賞与はともに職務執行の対価であり、会社法は両者を区別せずに定款や株主総会の決議などで額を決めるように定めていること、そして企業会計でもこれらを費用として処理していることを指摘。定期同額給与と事前確定届出給与、利益連動給与以外のものは損金不算入としている現行の法人税法に対し、「適正な課税ベースの構築を阻害していると考えられる」「抜本的に見直すべき」と問題視しました。

 交際費課税についても、「社外に流出した費用に税負担を求めるものであり、また、費用処理をして利益を算定する企業会計との関係からみても、不当に課税ベースを拡大している」として抜本的な見直しを提言しています。また、現行課税制度を維持するとしても、慶弔費など企業活動に必要不可欠な費用は交際費等の範囲から除外することを求めています。さらに、中小企業の交際費の定額控除額以下の部分の10%損金不算入措置に対し、少額の必要経費にも課税しようとするものだとして、この措置を廃止して全額損金算入を認めるべきとしています。

 このほか、受け取り配当等の損金不算入、未実現利益課税、寄附金課税、減価償却制度、引当金制度、資産の評価損、欠損金の繰越控除制度、法人事業税等の取り扱い、借入金利子の取り扱いについて問題点を指摘。公平・中立・簡素という税制の基本原則を踏まえて課税ベースを構築すべきこと、企業の規模や業種などにかかわらず原則として課税ベースは同一にすべきであること、法人税制と企業会計とは可能な限り調和を図るべきこと、政策税制として企業間で異なる課税ベースを採用する場合にはその政策の効果と必要性を検証した上で行うべきこと、などを提言しました。
<情報提供:エヌピー通信社>