「修繕費か資本的支出か」は、税務ではお馴染みのテーマです。どちらに該当するのかをめぐって、今日もどこかで頭を悩ませる経理担当者がいるはずです。

 一般に「修繕費」は支出時の損金算入が可能ですが、その固定資産の使用可能期間を延長させたり価値を増加させたりする場合には、その延長および増加させる部分に対応する支出については、「資本的支出」として修繕費から除外され、固定資産の取得価額に加算されます。
 利益が出ている会社にとっては、手っ取り早く修繕費として処理したいところですが、修繕費に該当するかどうかは、「修繕費」「改良費」などの名目で判断するのではなく、その実質で判定する必要があるので慎重に対応する必要があります。

 ところで、災害により被害を受けた固定資産について支出した費用については、修繕費か資本的支出かの判断基準が特に定められています。
 まず、被災資産の原状回復のために支出した費用は修繕費扱いとなります。被災資産の効用を維持するために行う補強工事、排水、土砂崩れ防止などのために支出した費用についても、会社が「修繕費」とする経理を行っている場合にはその処理が認められます。
 また、これら以外で被災資産について支出した金額のうち、資本的支出か修繕費か判断に迷う場合には、さらに特別な判断基準が設けられています。会社がその金額の30パーセント相当額を修繕費とし、残額を資本的支出としているときは、その処理が認められるというものです。

 ただし、被災資産の復旧に代えて資産を取得したり、貯水池などの特別の施設を設置したりする場合には、新たな資産の取得になるので修繕費としての処理は認められません。
<情報提供:エヌピー通信社>