◆人口構成に見るこれからの介護の行方
 日本の労働力人口を予測すると今後50年で3分の1が消失すると言われています。今後労働市場に元気な高齢者や長期に働く女性も増えてくる事でしょう。現役世代1人が支える高齢者は1950年から2050年の100年で10倍に増えると予測されています。   
 長寿社会は介護の長期化をまねき、現在平均介護期間は3.8年ですが、10年以上の方も1割はいます。50歳代前半で配偶者と自分の両親の4人が生存している場合の介護する確率は62%と言う統計もあります。今後企業は介護を担う社員が増えて行く事を意識する必要があるでしょう。

◆社員の介護をどう考えるのか
 家族の介護や看護の為に離職・転職した人は、2006年10月からの1年間で14万人以上、対前年比率は4割増加したという総務省のデータがあり、このうち男性は2万人以上、過去5年で74%増、年齢も40歳から59歳が41%をしめています。今後介護の為の離職、転職が増え経験を積んだ社員層の離職で人的損失が生じるかもしれません。また、若年者を育てる教育の担い手が足りない事態もあるかもしれません。介護はリスクマネジメントを必要とすると言っても過言ではないでしょう。企業はこのような事態に備えて社内制度の中で時間管理や業務体制をどうしていくのかを考える事が必要となって行くでしょう。

◆介護時代はチームワークや風土改善が大切
 最近、ワークライフバランスという言葉を聞く事がありますが、仕事と家庭のバランスを取るという意味で使っている事が多いようです。しかし本来の意味合いは仕事の効率化や生産性向上を目指す為、業務改善を行い、プライベートの時間も増やし、社内の活性化を目指すものです。メリハリのある仕事が生活の余裕に繋がるような良い相互関係を言うものです。例えば作業の前にその作業にどれ位時間をかけ作業の後にもっと速くするには?時間のかかった原因は?等を考えて業務改善をする等です。
 企業の中で①各人の働き方を共有して見直してみる②個人レベルで課題を認識してスキルを磨く③各職場レベルで課題を認識して業務改善をする④社内に好事例を広げて全社的に推進する等、制度に頼らなくとも職場単位の工夫でワークライフバランスは実現可能と言えるのかもしれません。