◆9月30日までに契約をすればと言うが?
 消費税法においては、不動産の賃貸借契約に基づいて支払を受ける使用料等(家賃)の額を対価とする資産の譲渡等の時期は、当該契約又は慣習によりその支払を受けるべき日となっているため、その支払いを受ける日の税率を適用します。
 しかし、平成25年9月30日までに賃貸借契約を締結し、平成26年4月1日以降引き続きその契約に基づいて資産の貸付を行っている場合で、その契約の内容が次の①または②の要件に該当する場合には、経過措置の対象となり、平成26年4月1日以後の期間に対応する賃料であっても税率が5%となります。
 ①その契約に係る資産の貸付けの期間とその期間中の賃貸料の金額が契約で定められており、かつ事業者が事情の変更その他の理由により、その賃貸料の変更を求めることができる旨の定めがないこと。
 ②その契約に係る資産の貸付けの期間とその期間中の賃貸料の金額が契約で定められており、かつ契約期間中に当事者の一方または双方がいつでも解約の申入れをすることができる旨の定めのないこと。

◆通常の契約では①も②も記載されている。
 昨今の賃貸借契約書では、トラブルを避けるために一般的に「賃料が経済事情の変動等により不相当になった場合には、賃貸人は契約期間中であっても賃料の増額ができる。」旨の条項や「中途解約の場合は、3か月前に申し出る」等の条項が設けられています。この条項が両方あれば、要件を満たしません。
 このように、現実的には経過措置の対象となる場合は少ないかもしれませんが、次のような事業者においては、経過措置の適用を受けるため、すでに締結している賃貸借契約の見直しを検討すべきしょう。

◆見直しを検討したほうが良い事業者
・グループ会社内で不動産賃貸借取引がある事業者
・課税売上高が5億円以上の事業者
・病院・薬局など課税売上割合が低く、課税仕入れに係る消費税額が全額控除できない事業者
・消費税の申告をするにあたり、簡易課税制度の適用を受けている会社
・免税業者