その利便性の高さから、普及したビットコインですが、取引量が増えるにしたがい、問題点が指摘されるようになりました。主な問題は、大きく二つあります。一つは、ビットコインの投機的な側面、そして、もう一つはマネーロンダリングです。

 ビットコインの相場は不安定で、2013年1月には13ドルでしたが、11月には1200ドルを超えました。ところが、その後、中国政府は人民元への悪影響を懸念し、中国の金融機関に対してビットコインを用いた金融商品や決済サービスの提供を禁止にしました。これで相場は急落し、800ドル前後まで下落しています。

 マネーロンダリングも問題視されています。ビットコインは銀行などと違い、足がつかずに金銭のやりとりができます。ビットコインを介在して、犯罪に関わる資金を送金するようなことがあれば、犯罪を助長することにもなります。こうした犯罪に加担する危険性から、適切な規制を検討する必要があるという意見も出ています。

 利点、問題点が混在するビットコインですが、国により扱いはさまざまです。ドイツのように、ビットコインによる納税や国内取引を認めている国もあれば、英国、マレーシアのように懸念を示す国もあります。日本は、そもそも日本銀行券への信頼が厚く、現金決済の割合が高いので、他国と比べてビットコインが普及しづらい環境にあるといえます。とはいえ、その利便性から、今後、日本でも他国に遅れてビットコインの普及が進む可能性があります。そのときには、利点と問題点をしっかりと把握したうえで、利用することが大切です。(了)

(記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター)