数年前、

不振だった本業に見切りをつけ、

副業の不動産賃貸のみに

事業を縮小したお客様がいらっしゃいます。


10名程度の従業員を抱え、

多額の借入金もあったので、

弁護士を交えたリストラやリスケの交渉は

相当難航しました。しかしおかげで、

その後は、景気の悪化に左右されずに

安定した不動産収益をあげ

借入も計画とおりに返済しています。

「あのとき決断してよかった」と

社長はよくおっしゃいます。


当時、社長が事業縮小を決断した材料のひとつに

「資金繰り表」がありました。

何度、つくりなおしても将来の資金残高がプラスにならず、

「これはもう辞めよう」と思ったそうです。


資金の収入・支出の実績や見通しを、

月次で項目別に記入するシンプルなもので、

社長就任当時に取引銀行からすすめられたのをきっかけに

10年以上、毎月ご自身で作成されていたそうです。

おかげでB/SやP/Lでは分からない、資金の動きを把握できるようになり、

事業の見切りもはやくできたようです。



経営者が事業を続けたいと思う気持ちはよく分かりますが

好転のきざしがなければ、他人にあまり迷惑をかけないうちに

事業を縮小・廃止するのも経営者の責任です。

誤った判断をしないために、

自分で努力して資金繰りを把握できるようになることが

大切かもしれません。