『当たり馬券が非課税になるかもしれません』

競馬ファンにとっては明るいニュースに聞こえますが

実は手ばなしで喜べる話でもないようです。


昨年から話題になっている

「外れ馬券の経費」の裁判で

1審、2審とも納税者の主張が認められました。

最高裁の判決はまだですが、

このままだと国税庁はこれまでの取扱いを

見直す必要が出てきます。


この「見直す」というのが厄介で

外れ馬券が経費となる要件を

細かく定義する(いくら以上ならOKか?何レース以上ならOKか?など)

必要がありますし、

馬券の赤字と年金収入を相殺(雑所得の通算)させないため

所得区分を新たに設ける(雑・分離馬券?)必要もありそうです。


こうした煩雑さを回避するウルトラCとして出てきたのが

「馬券の払い戻しを非課税にする=税金をかけない」という一手ですが、

ここにもカラクリがあります。


そもそも馬券売上のうち25%はJRAが天引きしています。

25%のうち15%はJRAの運営費に、10%は国に納められます。

(JRAが黒字を出した場合は、さらに利益の半分を別途国に納めます)。

つまり、競馬ファンは100円の馬券を買った時点で

知らないあいだにすでに税金(のようなもの)を10円納めています。


非課税案では、馬券の払い戻しそのものに税金をかけないかわりに

この天引き部分を引き上げよう、というしくみになるようです。

非課税の代わりに馬券の払い戻しが減るので、

そもそも税金を納めるほど儲かっていない

多くの競馬ファンにとっては迷惑な話になりそうです。


税制の整備をとるか、

競馬ファンの楽しみをとるか、

なかなか判断が難しいですね。

今後の議論に注目です。