札幌市豊平区の 税理士・社会保険労務士 溝江 諭(みぞえさとし) です。
 
 2012年6月26日、衆議院本会議で消費税率引き上げ法案が民主、自民、公明などの賛成多数で可決されました。今後は参議院で審議されることになりますが、法律の成立は8月以降になる模様です。
 
 この法案は、2014年4月に税率を5%から8%へ、15年10月にさらに10%へと段階的に引き上げるというものですが、実施されると、①景気の悪化と②財政のさらなる悪化が懸念されます。
 
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 今回は、景気の悪化について考えてみます。
 
 
 商品やサービスの価格が上がると基本的には需要が減少しますが、需要が増加する場合もあります。それは、その商品やサービスの価格がさらに上昇すると見込まれる場合です。そのため、今回の引き上げも2回に分けて段階的に行なうこととされました。
 
 この2段階引き上げ方式により、2015年9月までは一時的な需要の増加をもたらすものと思われますが、その分将来の需要を先取りすることになるため、2015年10月以後はさらに消費を冷やす結果となるでしょう。
 
 また、消費税の引き上げによる商品やサービスの価格上昇は、デフレ傾向を加速させることにつながりかねません。
 
 現在のデフレ傾向は、モノ余りの状況が生んだものです。すなわち、需要量が供給量を大きく下回っているため、商品やサービスの価格が低下するのです。さらに、生産者、販売者の生き残りを賭けた低価格競争がこれに追い打ちをかけています。
 
 そもそも我が国がこのようなモノ余りの状況となった最大の原因は労働力人口の減少と急速な少子高齢化のためです。
 
 日本の総人口は2010年(平成22年)1億2805万人をピークにその後減少局面に入ったようすが(注1)、本来旺盛な消費傾向を示す15歳以上の労働力人口でみると、それより10年早い2000年(平成12年)の6798万人をピークにその後は減少に転じ、2012年(平成24年)5月現在では6534万人とピーク時に比べ約4%の減少を示しています(注2)。これは少子化のためですが、注目すべき点は、総人口がそれほど変わらない状況にあって、高齢者や高齢者世帯は急激な増加傾向にあることです(注3)。高齢者の方は欲しいものが徐々に少なくなり、また食欲も落ちてくるとともに、旅行や外出等の機会も減少するため、全般的に消費意欲も減退していきます。そのため、モノ余りをさらに加速することになるのです。
 
 このようなデフレを打破するためには逆ピラミッド型の歪んだこの世代構成をピラミッド型に近い型にする必要があります。そのためには少子化を食い止める強力な政策が必要となるのですが、残念ながらこれまでの所、有効な対策がとられていません。
 
 また、少子高齢化による景気低迷の影響は、若年者層の失業者数の高止まりや1998年以後の給与所得者の可処分所得の減少にもつながっています(注4)(注5)。失業者の増加や可処分所得の減少は消費者に必要な物を必要な分しか購入しないという選択的な消費行動を誘引し、モノ余りの状況をさらに作り出していると言えます(注6)。
 
 このように厳しく、先の見えない経済状況の中で、政府は消費税を引き上げようとしているわけです。毎年の社会保険料引き上げや復興臨時増税による所得税や住民税の引き上げにより可処分所得が減少する給与所得者、年金額が物価スライドにより減少し、介護保険料も引き上げられ、医療費の自己負担分が増加傾向にある年金受給者などの消費者は限られた収入の中できわどいやりくりを迫られ、今以上に財布の紐を引き締めざるを得ないこととなります。一方、企業も売上が増えない中で社会保険料負担の増加と直接人件費の自然増に対処するため、さらなる固定費の削減に着手せざるを得ないことになるでしょう。そうなれば、消費税の引き上げを契機とした景気の悪化は避けられないことになります。
 
 少子高齢化対策、労働力人口の増加と働く場所の確保、低賃金労働者の可処分所得の増加を図らない限り、デフレからの脱却は容易ではなく、景気も回復しません。このような状況下で行なわれる今回の消費税の引き上げはさらなる景気の悪化を加速することになりかねません。
 
 
 次回は財政の悪化について考えてみたいと思います。
 
 ≪消費税率の引き上げがもたらすもの。 その2 財政の悪化≫
 
 http://www.ksc-kaikei.com/blog/index.cgi 
 
(注1)日本の人口の推移 総務省統計局
http://www.stat.go.jp/data/nihon/zuhyou/n0200100.xls
 
(注2)労働力人口の推移 総務省統計局 
http://www.stat.go.jp/data/roudou/longtime/zuhyou/lt01-01.xls
 
(注3)高齢者数の推移 総務省統計局
http://www.stat.go.jp/data/topics/topi541.htm
 
(注4)完全失業者数(年齢階級別) 総務省統計局
http://www.stat.go.jp/data/roudou/longtime/zuhyou/lt01-12.xls
 
(注5)≪民間給与実態統計調査H22年分 国税庁≫ KSC会計事務所のHP
http://www.ksc-kaikei.com/news/index.cgi?no=135
 
(注6)選択的な消費行動 日本リサーチセンター
http://www.nrc.co.jp/marketing/10-11.html
 
  
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  TKC全国会会員
  税理士・社会保険労務士・行政書士 溝江 諭 KSC会計事務所
      Tel  011-812-1672 http://www.ksc-kaikei.com/  
 
          札幌学院大学 客員教授 税務会計論担当(学部)
                         税務会計論演習担当(大学院) 
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