■患者さんが満足する点は変わる?
歯科医院での患者さんの満足度について考えてみたいと思います。
患者さんが自医院にどれだけ満足して通院していただいているか、常に気になるところです。
この満足度を知るために、患者アンケート調査をすることもあります。意見箱を置いて患者さんが意見を伝えやすい環境を作る場合もあります。
ここで注意しなければならないのは、満足に感じる点、や不満に感じる点、感じ方は、いつも同じといえるかどうかということです。
一般のビジネスの世界では、顧客満足を語る際に、「品質ポートフォリオ」という用語を用いることがあります。

■満足度における魅力的と当り前の違い?
この品質ポートフォリオには満足度について、次の5つのタイプがあるとしています。
歯科医院の場合は、ビジネスで使う「品質」という言葉を、「治療」や「サービス」、「接遇」などと言葉を入れ替えて考えるとわかりやすいかもしれません。
 
    充足されないと   充足されると
①当たり前品質・・・不満・・・・・・・・当然
②一元的品質・・・・不満・・・・・・・・嬉しい
③魅力的品質・・・・不満はない・・・・・嬉しい
④無関心品質・・・・不満はない・・・・・嬉しくない
⑤逆評価品質・・・・・・・・・・・・・・逆に評価を下げる

■患者さん満足につながる取り組みとは?
新しい品質要素が画期的な新商品とともに市場に登場し、普及するまでの変遷を考えてみると、まず、当初は新しい機能に飛びつく人(魅力的品質)、拒否する人(逆評価品質)、どちらでもない人(無関心品質)が混在します。  
その品質が多くの人に支持され、市場に定着すると、今度は充足されないと不満を感じるようになります(一元的品質)。
さらに完全に普及すると、ありがたみがなくたなっていきます(当たり前品質)。

■歯科医院の例で具体的に考えてみましょう。
例えば、十数年前には、接遇や患者さんのカウンセリングに力を入れている歯科医院はそれほど多くありませんでした。そのような時代であれば、接遇やカウンセリングは、③の魅力的品質と考えられます。
接遇やカウンセリングに力をいれていないとしても、特に患者さんは不満に感じないでしょうが、力を入れていれば、患者さんは満足と感じたでしょう。
しかし、徐々に接遇やカウンセリングが広まってくると、②一元的品質のように、それらに力を入れていないことに不満を覚える患者さんが出てきます。
ただ、少し広まった段階では、まだ力を入れている歯科医院には、満足と感じます。
しかし、これが日本全国の歯科医院中に広まってしまうと、接遇やカウンセリングについて、患者さんは①当たり前品質と同様に考えるようになり、たとえそれに力を入れていても、歯科医院に対して、満足の気持ちを抱くことはなくなってしまいます。
このように患者さんが満足や不満に感じる点は変化していくことがわかります。

■魅力的品質になっているか?
今、先生の歯科医院で力を入れている取り組みは、1~3のどの品質に当たるでしょうか?
魅力的品質を作ることは重要なことですが、当たり前品質や一元的品質を充足することも、なおざりにしてはならないことです。
自医院の取り組みやサービスがどのレベルにあたるのか、感じ取っていきたいですね。


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