目標管理制度で、“成果主義”の評価が陥りやすい代表的問題として
・短期的に達成可能な、達成しやすい目標設定に走り、挑戦意欲が失われる。
・自分だけの評価を高めるために、情報やノウハウを隠す傾向が出て、チームワークが阻害される。
・目標を設定した業務領域に集中するあまり、その他の業務がおろそかになる。(“マルチタスク問題”と言われ、「製造業の生産量と品質、運送業のスピードと安全」など一方を重視すると、他方が軽視されるトレードオフ関係にある場合に生じやすい。)
が挙げられます。
 言い換えれば、それらは“結果主義”に陥る結果として引き起こされる問題である、とも言えます。

◆問題回避、トップの方向付け
 これらの問題を回避し、目標管理制度に本来の戦略目標達成のための業績管理機能を発揮させるには、トップの立場で次の点を徹底することが重要であり、自分の言葉に置き換えて、役員・社員各層に意思表示、方向付けを行なうべきです。
1.予め、 経営管理・人事部門など、目標管理制度の仕組みを構築する部門に対し、現場の問題事実を吸い上げ、特に社員の意識、行動に重要な影響を与える評価制度の設計、運用に留意して制度づくりを行なうよう、かつ評価者研修等関連施策を実施するよう指示する。
2.管理者・社員を対象とし、目標管理制度の仕組みと次のような運用方針を示す。
(1)管理職・社員はそれぞれの役割に応じて戦略目標達成への重要な貢献を行なうよう、ストレッチな目標(手を伸ばして、ようやく手が届くレベルの目標)を設定して、挑戦して欲しい。
(2)戦略的に特に重要なテーマは複数部門の協力体制で取り組むため、チームワーク重視で取り組んで欲しい。
(3)挑戦的目標へのチャレンジとその成果は、実績に応じて高く評価する。
(4)評価の公正性、納得性を重視した運用が、重要であることから、目標管理制度・評価制度の運用に係わる全管理者は、ルールを守って(=公正に)、かつ誠実な評価と被評価者へのフィードバックを実施する。