平成18年度の査察件数は増加。脱税額は300億円
 
国税庁が「平成18年度における査察の概要」を公開し
ました。それによると、平成18年度中の着手件数は前
年よりも14件多い231件となり、処理件数221件(前年
より7件増)、告発件数166件(同16件増)、告発率(
告発件数÷着手件数)75.1%(同5%増)もすべて前
年を上回りました。

査察とは、「国税犯則取締法」にもとづき、悪質また
は大口の脱税行為に対して国税局の査察部が行う強
制調査のことで「マルサ」とも呼ばれています。一般的
な税務調査とは異なり調査の拒否はできませんし、脱
税の証拠となる可能性のあるものはすべて差し押さえ
られます。それどころか、銀行や取引先なども強制的
に調査されるのです。そして、査察を受けて告発され
た場合、その有罪率は実に100%です。

平成18年度中に処理された事件に係る脱税額は総額
で304億円(前年より30億円増)、うち告発分は278億
円(同48億円増)で、 1件当たりの脱税額は1億6700
万円(同1400万円増)でした。

税目別に告発件数を見ると、もっとも査察件数が多い
のは例年通り法人税の78件でした。ただ、最近では所
得税の告発件数の増加が目立っており、平成14年度
には全体の22%(32件)だった告発件数が35%(59
件)までになっています。これは、「告発の多かった業
種」において、個人事業者が多いと思われる「キャバレ
ー・飲食店」の脱税件数が年々増えているのに加え、
平成18年度に個人の「商品・株式取引」が4位に初登
場しているのが原因だと思われます。金融商品や株取
引で得た所得を全く申告しないケースが大幅に増加し
ているようなのです。

なお、その「告発の多かった業種」でワーストだった
のは昨年6位だった「人材派遣業」です。人件費を消
費税の課税仕入れとなる外注費に科目仮装することに
よって、消費税を過少申告する脱税が目立ったとのこ
とです。

最近もアユの養殖業者の脱税がニュースになっていま
したね。

漁師の権利を上手にお金にする漁協の組合員を“岡の
漁師”と呼ぶのは初耳でした。

[平成18年度における査察の概要]