1980年代にGEのCEOであった、ジャック・ウェルチ氏の戦略として有名なのが、「選択と集中」。

 この「選択と集中」とは、自社の得意とする事業分野を明確にして、そこに経営資源を集中的に投下する戦略をいいます。ウェルチ氏は企業が行っている事業のうち、ナンバー1ないしナンバー2の事業に注力する一方で、弱小事業は他企業へ売却ないし、廃止等のリストラを行っていきました。GEはこの戦略に基づき、事業の再編成に伴う資源の再分配を行うことで、業績を飛躍的に向上させたのです。

 では、現在の日本という国家戦略では、それは何を指すのか。外交問題なのか?軍事なのか?教育なのか?エネルギーなのか?環境なのか?少子高齢化の防止なのか?何に集中していくのか。

 それが示されていないのに、適切な事業仕分けができるのでしょうか。来期40兆円しかない歳入なのに、95兆円も使おうという、小学生でもおかしいとわかるようなことをやろうとしているのです。国家は、選択などできない。集中などしてはいけないという議論もあるでしょう。しかし、事業仕分けをするということは、そのことをやろうとしたのですから、歳入の額を考えたときに、今はやはり、何に集中していくのかをもっとしっかりと示すべきではないでしょうか。

 国民の意見を聞くというのはいいのですが、根幹となるべきものをもう少し具体的に示してから、国民に聞くべきではないかと感じます。少なくとも、外交であれば、アメリカに対してはどう、中国に対してはどう、そして、日本はどのような主張をしていくのか。まずは、それを示すべきです。(つづく)

(記事提供者:株式会社上坂経営センター)