日本人は古来より、先を示すことで、「今」を耐えることができる民族です。

 今の日本は、国民が国に何かをしてくれることを期待し、また、そのことを元に選挙を行っていますが、でも、それは、違うように思います。私たち、国民1人1人が、国に何ができるかを考えなければならないように思うのです。しかし、その大前提は、政府が国家戦略を示すことです。

 その国家戦略とは、「選択と集中」ではないでしょうか。その中で、「ここに選択し集中していく」という強烈なメッセージがあれば、国民は、ついていくと思います。

 今回の事業仕分けを考えると、事業仕分けの対象になった事業の選択自体、どのような国家戦略からきたのかが、全く見えません。

 そして、その上で、実行している仕分けが正しいかどうかなどは、分かるはずもありません。事業仕分け人が、「こんなお金をかけて、世界一になる価値はあるのですか。なぜ2番ではいけないのですか」と問う場面がありました。このことは、今後、日本がどの産業を強くしていくのかということから判断すべきことではないでしょうか。それがなければ判断などできないと私は感じます。

 明治時代に富国強兵、殖産産業、これで日本を復活させました。何をやろうとしているのかが、非常に明快だったのです。今は、非常時。もっと戦略が見えてもいいのではないか。そのためには、今こそ、「選択と集中」が必要ではないでしょうか。(了)

(記事提供者:株式会社上坂経営センター)