直嶋正行経済産業大臣が、日本企業の国際競争力を高めるために「産業構造ビジョン」をこの5月をメドに策定すると発表しました。

 産業構造ビジョンには、①グローバル企業のアジアでの収益向上、②海外収益の国内への還流と競争力の国内保持、③内需拡大による雇用確保、を骨格として産業界がとり組む具体的対応策や政府の支援策が盛り込まれるようです。

 昨年末、政府が新成長戦略の基本方針を出したことを知っている読者も多いと思います。この新成長戦略は、6月までに「成長戦略実行計画」(工程表)としてまとめられることとなっており、直嶋経産相が指示した「産業構造ビジョン」は新成長戦略の柱となると思われます。

 ここで6月に発表される政府の新成長戦略(基本方針)の概要を示してみたいと思います。新成長戦略では、今から10年後2020年の数値目標として以下の目標値を掲げています。

 名目GDPを2020年度に650兆円。2020年度までの平均名目経済成長率3%、実質成長率2%(ということは平均1%のインフレを予定)、向こう4年間で失業率を3%台に改善。2020年度までに環境分野で新市場50兆円、新規雇用140万人創出。2020年度までに健康分野で新規市場45兆円、新規雇用280万人創出。

 また、新成長戦略は重点分野として①環境・エネルギー②健康(医療・介護)③アジア④観光・地域活性化⑤科学・技術⑥雇用・人材を挙げています。鳩山政権はエコノミストや経済学者から具体的なマクロ経済のビジョン・戦略がないと批判されることが多いですが、6月の成長戦略実行計画と工程表に大いに期待したいところです。(つづく)

(記事提供者:アタックス 丸山 弘昭)