会長や社長、その他の役員などに不幸があり、社葬を執り行うこととなった場合、会社の人間は大忙しです。
 会場の下見、進行の打ち合わせ、案内状の準備など、葬儀社のスタッフが手伝ってくれるとはいえ、やることは山ほどあります。
 てんてこ舞いの中でぜひとも忘れないでおきたいのが、会葬者から受け取る香典の税務上の取り扱いです。

 会社が費用を負担して行った社葬で受け取る香典には、「費用を会社が出しているのだから当然、会社の収入だ」という考え方と、「故人の冥福を祈るため持参された香典なのだから、弔慰金として遺族の収入とすべき」というふたつの考え方があります。
 どちらの考え方も合理性がありますが、社会通念上からいえば遺族の収入とするのが常識的。――ということから、社葬に寄せられた香典は会社の収入とせず、遺族の収入とすることが認められています。

 社葬の費用は、その社葬を行うことが社会上通念上相当で、負担した金額が社葬のために通常要する額と認められれば、その支出をした日の属する事業年度の損金に算入することができます。
 社葬を行うことが社会通念上相当かどうかで判定のポイントとなるのは、死亡した役員などの「死亡の事情」や「生前における会社に対する貢献度合い」など。創業者でもなく、会社の経営にほとんどタッチしなかった役員の場合、社葬費用の負担は常識では考えられません。
 費用面では、院号を受けるための費用や、密葬・墓石・仏壇・位牌などの費用は「通常要すると認められる金額」ではないでしょう。
 また、社葬を行うことを決めた取締役会の議事録も税務調査の際は重要書類となるので、必ず用意しておきましょう。
<情報提供:エヌピー通信社>