先ごろ平成23年度の税制改正大綱が閣議決定されましたが、税制改正の際に常に話題になるのが租税特別措置法(租特)の扱いです。

 租特は、特定の政策目的への配慮のため、その名の通り税制上の特別扱いをするもの。しかし、政策目的とはもはやかけ離れ、特定業界への過度な優遇になっている租特も存在しています。
 そこで、租特の適用状況を明らかにするため「租税特別措置の適用状況の透明化等に関する法律」、通称「租特透明化法」が成立しました。
 これにより、平成23年4月以降に終了する事業年度から、租特を適用する法人(人格のない社団なども含む)には、法人税申告書に「適用額明細書」を添付して提出することが義務付けられることになりました。現在、e-Taxでも添付できるよう、対応が進められています。
 中小企業でいえば、法人税の軽減税率の特例、機械等を取得した場合の特別償却などです。法人税に関する租特のうち、税額または所得の額を減少させるものは全て対象となります。

 適用額明細書の提出がない場合や、虚偽の内容を記載して提出した場合は、租特の適用が認められません。提出し忘れや誤記入には十分注意しましょう。
 ただ、連絡ももらえず即アウトというわけでもないようです。適用額明細書の添付し忘れ・記入間違いがあった場合、税務署からは連絡が来るはず。その後、速やかに正しいものを提出し直せば良いようです。
 租特の適用額が変更となる修正申告書を提出する場合も同様です。変更後の「適用額明細書」をあらためて添付する必要があります。
 ちなみに、こうして提出された適用額明細書は国税当局で集計した後、その結果を内閣が国会へ報告することになっています。
<情報提供:エヌピー通信社>