(「雇用を守るトヨタの国内生産再編に期待1」より続く)

 長引く円高、原子力発電所の停止による電力不足、電力コスト上昇懸念など、国内生産はマイナス要因が多く、トヨタ経営首脳陣は常識で考えれば海外生産シフトがベストと考えているはずです。

 しかしトヨタには、長年取引を続けてきた協力会社が存在します。こうした協力会社との関係を維持するために、トヨタは国内生産の最低ライン年間300万台をなんとしても守り抜きたいと考えているようです。

 今後トヨタは、小型車生産を中心とした東北、レクサスブランド高級車を生産する九州、そして中部地区と三極体制を築きます。トヨタは“製造立国日本”の代表的企業です。古くから、トヨタのトップは“物づくりは人づくり”といい、人を育てる社風が根付いており、このことが強いトヨタの“職場力”“現場力”となり、グローバル競争の覇者となったといってもよいでしょう。

 トヨタのこれからに大いに期待したいと思います。そしてトヨタに限らず多くの製造業(輸出産業)が円高に苦しんでいる現実に政府は無策であってはいけません。このままでは産業の空洞化がますます進み、日本では若者の就業機会が減り、失業率が高まり、希望のない国となってしまいます。

 トヨタのような個別企業の頑張りに期待すると共に、政府の抜本的な円高対策を期待したいものです。(了)

(記事提供者:アタックス 丸山 弘昭)