インターネットの普及に代表される情報技術(IT)の進展によって電子商取引の市場規模は拡大傾向にあります。経済産業省「電子商取引による市場調査」によると、2010年の企業間電子商取引(BtoB-EC)の市場規模は対前年比25.1%増の256兆3,100億円、企業・消費者間電子商取引(BtoC-EC)の市場規模は、対前年比16.3%増の7兆7,880億円に達しています。

 BtoBの分野では、市場のグローバル化や製品ライフサイクル短縮化などに対処するため、特に大企業を中心に電子商取引システム導入によるリードタイム短縮、在庫圧縮などが進められています。そうした大手取引先からの要請に対応できないことは、中小企業にとって取引先からの選別に合うことにもなりかねません。逆に、情報化を推進することで業務の効率化が達成できれば、自社が本来強みとする分野に経営資源を集中させることで取引先との関係を強化することができます。

 BtoCの分野では、パソコンや携帯電話などの情報端末から、いろいろな情報を取り寄せたうえで商品を購入するのが当たり前になるなか、自発的な取組みによって自社の製商品の特長をインターネット上で簡潔明瞭に伝え、消費者を引き付けることによってビジネスチャンスの拡大を図ることが可能となっています。

 そしてこれからは、守りの分野のみに活用するのではなく、ITを新しいビジネスツールと捉え、顧客ニーズの的確な把握に基づく製品開発や販路開拓などといった攻めの分野にも活用し、経営力を高めていくことが求められるのです。(つづく)

(記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター)