集合天才の起源は、アメリカの大手総合電機メーカー、GE(ゼネラル・エレクトリック)の組織運営にあるといわれています。GEの創始者は発明家のエジソンで、彼が興した研究所は、天才の出現を待つよりも、一人ひとりの才能を集めることで、よい結果を残すほうがよいという方針を立てました。それが現在でも語り継がれる有用な発明を生み出すことにつながったといいます。

 実は、日本にも集合天才ともいえる企業があります。その一つがパナソニックです。創始者の松下幸之助氏はかつて、「我々は凡夫の集まり」「凡夫の力で偉業を成し遂げる」と述べました。彼は、パナソニックには集合天才型組織のほうが適しており、より優れたアウトプットを生み出せることに気づいていたのです。

 もちろん、単純に人材を寄せ集めただけでは集合天才にはなりません。そこにはいくつかの必要な要素があります。一つは、メンバーが自ら考えアイデアを出せる職場環境で、それにはメンバーが互いに信頼し合い、尊敬する組織文化が欠かせません。つまり、集合天才では、通常の組織よりも個々の能力を伸ばすことが必要になりますが、個々が出過ぎるとメンバー間で衝突が起こります。そのぶつかりを超え、信頼と調和のあるチームに成長させることができるかどうか、ここにリーダーの手腕が問われる点があります。

 決して簡単なことではありません。ただし、いまの日本企業が現状を抜け出し、一段上に飛躍するためには、こうした強いチームをこしらえ、組織を集合天才に引き上げるリーダーの能力が求められるといえます。(了)

(記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター)