平成24年度税制改正で特定の役員に対する退職手当などへの課税が見直され、25年1月1日から適用されることを受けて、国税庁ではこのほど、「特定役員退職手当等Q&A」を取りまとめました。

 「特定役員退職手当等」とは、役員などとしての勤続年数が5年以下のひとが、その勤続年数に対応する退職手当などとして支払を受けるものです。公務員の天下りのように短期間の在職が当初から予定されている法人役員などが、給与の受け取りを繰り延べる一方で高額な退職金を受け取ると、結果的に税負担を免れるという事例が指摘されたことから見直されたものです。
 退職所得の金額は、その年中に支払いを受ける退職手当等の収入金額から、そのひとの勤務年数に応じて計算した退職所得控除額を控除した「残額の2分の1に相当する金額」とされていましたが、来年1月1日からは勤続年数5年以下の法人役員などの退職所得については、この「残額の2分の1」とする累進緩和措置が廃止されます。

 「Q&A」には、①対象となる役員等勤続年数が5年以下かどうかの判定、②ひとつの勤務先が、同じ年に使用人としての退職金と役員退職金を支給する場合の源泉徴収税額の計算方法、③使用人としての退職金と役員退職金の支給を受けたひとが、同じ年に他社からも役員退職金を受け取る場合の他社での源泉徴収税額の計算方法――など、11項目についてのQ&Aが掲載されています。
  この「Q&A」では、勤続年数の判定について「取締役として入社後5年4カ月経っている場合は、特定役員には該当しないが、入社して15年経っていても、取締役期間が4年3カ月であれば特定役員に該当する」などと解説。取締役を4年間勤めた後、引き続き監査役として2年間勤めたひとが退職したケースで支給される役員退職金は、合計6年間の役員期間に対するものでるとして「特定役員退職手当等に該当しない」などと、具体的な例を挙げて解説しています。
<情報提供:エヌピー通信社>