雇用促進税制は、企業が雇用した人数が前期を上回っている場合に、税額控除を認めるというものです。当期末の雇用者数が前期末の雇用者数に比べて5人以上(中小企業は2人以上)、かつ、10%以上増加している場合に、「基準雇用者数×20万円」の税額控除が受けられます。
 ここでいう「基準雇用者数」とは、当期末の雇用者数から前期末の雇用者数を引いた数です。税額控除額が法人税額の10%(中小企業は20%)相当額を超える場合には、その相当額が限度となります。

 納税額をダイレクトに減らせる税額控除ですので、企業にとっては税メリットが大きい制度ですが、それなりに厳しい適用要件があります。
 基準雇用者数や基準雇用割合のほか、前期と当期で事業主都合による離職者がいないこと、給与等の支給額が比較給与等支給額(前期の給与等の支給額+(前期の給与等の支給額×基準雇用者割合×30%))以上であること、などをすべてクリアしている必要があります。
 また、適用に際しては、公共職業安定所に雇用促進計画を提出して要件クリアの「確認」を受けたうえ、交付された雇用促進計画の達成状況を「確認」した旨の書類の写しを確定申告書に添付することになります。手続きは煩雑ですが、これらをクリアすれば大きな税メリットを受けることができるわけです。

 なお、雇用促進税制の適用を受けるには、適用年度ごとに、その都度、適用要件を満たしている必要があり、雇用促進計画も適用年度ごとに提出する必要があります。このため、適用要件を一度でも満たせばその後も継続して同税制の適用を受けられるというわけではないので注意したいところです。
<情報提供:エヌピー通信社>