患者が医療機関の窓口で負担する医療費を、公費から助成する事業が多くの自治体で行われています。とくに少子化対策の一環として、乳幼児や子どもを対象としたものが多いようです。自分の住む自治体にどんな助成事業があるのか、確認しておいて損はないでしょう。
 ある市の助成制度では、健康保険に加入する中学3年生までを対象に、市内の医療機関での医療費の自己負担分をゼロにしています。また、市外の医療機関で受診した場合でも、支払った医療費の領収書と申請書を提出すれば、自己負担した分を助成金として受け取ることができます。

 所得税法では、保険金や損害賠償金を非課税所得と定めています。同時に、それに類するものとして、社会保険等に関する法律やその他の法令の規定に基づき支給を受ける給付金で、医療費の支出に対して給付されるものも非課税としています。
 医療費助成金は、地方自治体が定めた条例または規則に基づき、医療機関に支払った医療費の助成が主たる目的であるため、これに該当し非課税となります。このため、けがをした際に受け取る損害保険金等と同様、非課税所得と定められています(所得税法第9条第1項第17号、同基本通達73-8)。

 医療費助成金を受けた場合、確定申告では注意が必要になります。支払った医療費のうち、助成金の支給を受けた金額は、当然ながら控除できません。損害保険金や医療保険金の支払いを受けたときと同じように、助成金を受け取った分も医療費から差し引いて、医療費控除額の計算をしなければなりません。
 自治体によって助成の種類は違いますし、患者としてみれば、それが助成金だったのか、健保の制度上のものなのかなどは、なかなか判断がつきません。助成金を受け取ったという認識がないケースもあるでしょう。医療費控除を受ける際には、医療機関などの領収書とともに、こうした助成金を受け取っていないかどうかも確認する必要があるでしょう。
<情報提供:エヌピー通信社>