世界がユーロ圏の経済不況を引き金にして、景気後退期に入っています。その中で、日本の置かれた立場は実はかなり良いスタンスにあります。日本の銀行はユーロ諸国の国債引き受けなどをあまりしていないこともあり、影響が少ないこともありますが、バブル崩壊から20年間の辛抱の中で、日本はバブルの調整が世界の中でいち早く終わりました。欧米ではこれからです。

 産業界でも国内製薬最大手の武田薬品工業が、スイスの製薬大手ナイコメッドを約1兆円で買収し、ソフトバンクが米国スプリントを買収したように、日本企業規模拡大の兆しが見えています。財政問題で日本は苦労し、いまだに綱渡りが続いていますが、世界の経済産業のけん引役になる時がきているのかもしれません。

 日本の社会はフェイスブックやアマゾンのような世界を席巻するようなビジネスを生み出すことには得意ではありませんが、地道に改良を重ねていくイノベーションには強いものがあります。特に、エネルギー・環境・省エネの分野と健康・医療・介護の分野では、日本の技術力が先進諸国の中で最先端をいっているといえます。2013年は、エネルギーや医療などの分野でのイノベーションが加速していくことが期待されます。(つづく)

(記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター)