ゴルフ会員権を売却した際に発生した損失を他の所得と損益通算できる制度が、今年4月1日以降の譲渡から使えなくなりそうです。毎年のように損益通算廃止の可能性がささやかれてきましたが、ついに最新の税制改正の案のなかに盛り込まれました。

 損益通算ができない「生活に通常必要ない資産」に、主として趣味、娯楽、保養、鑑賞の目的で所有する不動産以外の資産が加えられることとなっています。この代表格がゴルフ会員権です。今年4月からの売却による損失分から適用できなくなります。

 バブル期には数億円もの値を付けた高級ゴルフクラブの会員権も珍しくありませんでした。土地や株などに加え、ゴルフ会員権は非常な高値で取り引きされました。あらゆる投機商品のなかでも売買が手軽であることに加え、ゴルフ=高級感というイメージから富裕層のステータスにもなっていました。さらに株価のような相場の上下が少なく、土地同様に当時は「上がり続ける相場」で、しかも土地のように建築規制や日当たり、駅からの距離などの細かい調査も不要なことから、投機熱は一般のサラリーマンにまで及んでいました。

 それがいまや100分の1程度にまで暴落しているとも言われます。「売れば大損」ですが、損益通算制度で「かたきは討てる」くらいに考えていた人にとっては、改正はまさに大問題です。

 富裕層としては、損益通算できる間に売却するのも選択肢のひとつです。あるいは、景気の上昇を機に、「売らずに値上がりを待つ」という選択もあり得ます。バブル期までの高騰は望めないまでも、東京五輪に向けた景気浮上は誰もが期待する人は多いかもしれません。いずれにせよ、早めに選択肢を決めなければならないようです。
<情報提供:エヌピー通信社>