【質問】
古くからの取引先が倒産しました。この企業には、昔からのよしみでお金を貸し付けていたのですが、戻ってきそうにありません。
損失として計上することはできるのでしょうか。

【回答】
取引先の経営状況が芳しくなく、売掛金や、貸付金などの金銭債権について一定の事実が生じたときは「貸倒損失」として損金の額に算入できます。
売掛金などの売上債権と貸付金などの金銭債権では、取り扱いが少し異なります。



 自力再建の道を諦めた企業が会社更生法のお世話になると、取引先の企業もとばっちりを受けます。

 たとえば会社更生法の適用を受けて経営再建中の日本航空の場合、主要取引先6社の損失が約950 億円!にも上るといいます。


 取引先の経営状況が芳しくなく、売掛金や、貸付金などの金銭債権について一定の事実が生じた場合、「貸倒損失」として損金の額に算入することができます。


 まず、金銭債権が切り捨てられた場合、貸倒損失を計上することができます。
 具体的には、

(1)会社更生法、会社法、民事再生法などの規定により切り捨てられる金額

(2)法令の規定による整理手続によらない債権者集会の協議決定および行政機関などのあっせんによる協議で、合理的基準で切り捨てられる金額

(3)債務者の債務超過状態が相当期間継続し、金銭債権の弁済を受けることができない場合に、債務者に対し書面で明らかにした債務免除額

 これらは、生じた事業年度の損金に算入できます。


 場合によっては、金銭債権の全額が回収不能となることもあります。

 その場合、全額が回収できないと明らかになった事業年度に、貸倒れとして損金経理することができます。 

 ただし担保物があると、処分後でないと損金経理できません。
 保証債務は、現実に履行した後でなければ貸倒れの対象になりません。


 また、売掛債権(貸付金など除く)について、

(1)債務者の支払能力悪化などで取引を停止した場合、取引停止時と最後の弁済時などのうち最も遅い時から1年以上経過したとき(その売掛債権に担保物のある場合は除く)

(2)同一地域の債務者に対する売掛債権の総額が取立費用より少なく、支払を督促しても弁済がない

 ・・・といった事実があれば、その売掛債権額から備忘価額を引いた残額を貸倒れとして損金経理できます。