商売が消費者主導になってからもう何年が経つのでしょうか。

 私は最近、ウォルト・ディズニーが「決まった自分の仕事を行えばいい」と、ともすればいい加減になる社員に向かい、常々言っていたことを思い出します。『神は、細部に宿る。夢を売るディズニーの、お客様にとっての価値は、一点の細部もおろそかにしない完全だ』という一言です。

 あの夢と魔法の王国ができた背景には、このような徹底した考え方があったのです。だから、ゴミ一つ落ちていることを許さない。そして、その完全なるものを人と人との触合いによって、さらに完全なものとしてゆく。それこそが完全ということなのです。

 「完全だ」と思わせる人間は、まだたいした事はないように思います。「なんとなく抜けているように見える。でも完璧なんだよね」。この方が、相手にとっては心地いいものです。ディズニーは、まさに後者であると思います。これが、ディズニーが目指した完全です。

 そのために、マニュアルを徹底的に作りました。これは細部にまで、いや、細部こそがしっかり書かれているものです。しかし、そのマニュアルを超えるサービスを提供しようとしている。では細部とはなんでしょうか。(つづく)