(1より続く)

 多くの本に書かれていることですが、お客様は、全体印象でものを見ていると言われます。私は、それについては良い視点だと思っています。そして、そういった本には、チェックリストがついており、自己採点をし、結果が平均点を超えていたら、顧客ニーズに対応できていると書いてある場合があります。私は、これは間違っていると思います。どこが間違っているかといえば、その表の見方や結論の出し方がおかしいと思うのです。

 例えば、点数をつける項目が5つあり、5点満点だとします。その結果が、「①5点、②4点、③3点、④2点、⑤5点」の合計19点で、平均3.8点だったとして、多くの企業が実施した結果、平均が15点、1つあたりの平均が3点だったとします。そうすると、この3.8点をとった企業は、「良い」という判定になります。しかしそれでいいのでしょうか。

 今のお客様は、④の2点のところですべてを判定し、2点のイメージでその企業を見てしまうということです。これは人も同じです。人は通常、その人の一番いいところを見てはくれない。この会社の印象も同じです。ディズニーはこれを徹底して潰しているのです。「神は細部に宿る」のです。

 現在の状況では、2点や3点の部分を隈なく探し、劣っている点数を集中的に4点になるまで改善するべきです。不況の今はそれができるはずです。他の企業に比べ、劣った箇所を探すのです。他社との比較で、5点満点で2点と低い要素があれば、劣った点が全体印象になってしまうからです。今の顧客は、それを許してくれません。それが消費者主体の意味だと思うのです。過去の常識が通用しない時代。あなたのどの細部にこだわりますか。(了)