去年の秋以降、国内外でトヨタ自動車の品質問題が相次いでいます。

 今年2月5日に、この問題が表面化して初めて豊田章男社長が名古屋市内で記者会見し、「多くのお客様にご迷惑、ご心配をおかけしたことを心からお詫び申し上げます」「プリウスに限らず、品質への不安を与えることは製造業のトップとして非常に残念。一日も早く信頼を回復するため従業員一丸で信頼を取り戻したい」と語りました。その後、豊田章男社長は2月24日に米議会の公聴会に出席、3月1日に北京で記者会見、そして3月23日に訪欧するなど問題に全力で当たっています。

 トヨタは戦後の1949(昭和23)年末、現在の豊田章男社長の祖父豊田喜一郎社長の時代に、ドッジ・デフレにより資金繰り難に陥り倒産の危機に瀕しています。この時は日銀名古屋支店長の斡旋による銀行団の協調融資により危機を乗り越えました。

 この危機の時代、社長となった石田退三氏の有名な言葉に「自分の城は自分で守る」があります。朝鮮戦争による特需にも助けられ、業績は急速に回復し、後に社長となった豊田英二氏の時代にトヨタは大胆な設備投資を行い、日本を代表する自動車メーカーとなっていきました。その後、トヨタは米国における排ガス規制など様々な危機を乗り越え、2008年3月期は売上26.3兆円、営業利益2.3兆円にまで成長し、世界一の自動車メーカーとなっています。(つづく)