(「何のためのM&A?初心忘るべからず1」より続く)

 M&Aがご破算になったサントリーと麒麟麦酒のケースも新生銀行とあおぞら銀行のケースも、合併予定企業同士が同じ業種でありかつほぼ同じ規模であった点が注目されます。

 これらのM&Aが実現できれば、サントリーと麒麟麦酒の場合は、グローバル化が促進でき十分に外国企業ともグローバルマーケットで戦う礎ができたでしょう。新生銀行とあおぞら銀行の場合は、M&Aにより総資産が国内6位になり大手行の仲間入りができました。

 どちらのケースにおいても、買収する側、買収された側という力関係がはっきりとできるのであれば、それほどもめることはありません。しかしながら、今回のように同じ力関係が結合するM&Aは要注意となります。

 中堅中小企業においても、事業承継等の理由により同じ規模同士のM&Aは今後活発に行われると予想されます。いろいろな議論を進めると必ずお互いの思いがぶつかるものです。異文化を受け入れる軋轢は当然あります。そんな時初心に立ち返り、このM&Aの意義は何かを問い直すべきです。自分たちの進むべき方向は何か、1+1を2以上にするために何が重要なのか。大義のために相手を受け入れることも必要です。(了)